アヴァリは一見して大型のウサギと七面鳥を掛け合わせたような外見をしており、直立二足歩行で趾行を行う。全身は様々な長さの羽毛で覆われ、二枚の大きな翼、器用な指、ウサギに似た四つの長い耳を持つ。
生理学[]
アヴァリは哺乳類ではない。生態的には太古の地球に存在したドロマエオサウルス科に似ていると考えられている。アヴァリの血は淡紫色で、口内や皮膚などの軟部組織にその色が見られる。雌雄間では羽毛の模様や色彩以外に外見上の違いは無い。雌は彩度の低いツートンカラーの羽毛を持つ傾向があり、また多くの個体がまだら模様を持つ。雄は体の大部分に彩度の高い色を持ち玉虫色に輝く帯状の模様がある。
表面的にも古代地球に君臨していたドロマエオサウルス科に似ている。通常の成体のアヴァリは、身長1～1.2メートル、鼻から尾の先端までは1.5～1.8メートル（うち半分はバランスのとれた長い尾）で、断熱性のある厚い羽毛で覆われている。重力が低く大気が厚いアヴァロン星では翼を使って飛行することが出来るが、重力の高い惑星ではほとんど無用の長物と化す。他の惑星ではある程度の条件付きで滑空や、落下時の緩和を自力で行うことは出来るが、丸腰での飛行は出来ない。
アンモニア生態[]
人間とは異なり、アヴァリの身体は液体アンモニアを主成分として構造されている。このため寒冷な環境では非常によく適応出来るが、人間が想定する地球のような常温の星はアヴァリにとっては耐え難いほどの灼熱の世界となる。要するにアヴァリは炭素ベースの生命体ではあるが、単純に身体を構築するのが水ではなく液体アンモニアだということである。
標準的な圧力下でのアンモニアの沸点は、華氏-27度/摂氏-33度。このためアンモニアを血液の主成分とする生物はより高い温度にさらされると塞栓してしまうということになるが、アヴァリの故郷であるアヴァロン星は、土星の衛星タイタンのような濃密な大気を持つ氷の世界である。地表の圧力は地球の約50％で、沸点は摂氏-27度に近い。
また、アヴァリは動脈圧の向上、断熱性のある厚い羽、微量の水溶液など、自身の沸点を更に上昇させる様々な生物学的適応を備えている。
しかし、その圧力適応は非常に極端なため、自分たちの故郷であるアヴァロン星であっても、極地では適切な防護服が無ければ生き延びることは難しい。体液は極寒の地では予想以上に早く凍ってしまうため、通常は比較的「暖かい」、乾燥した氷のツンドラ地帯で繁栄している。
羽毛[]
陸生鳥類と同様に、様々な特殊な羽毛を持つ。上半身の羽毛は降雪から皮膚を守るために油分を多く含んでいるため滑らかな質感をしており、下半身には体の芯を熱から守る軽くてふわふわした羽毛がある。また、継続的に再生する特殊な羽毛である散剤羽がある。この散剤羽の外側の棒状の部分が折れて、他の羽毛に油分や粉を付けることで、羽毛をきれいな状態に保つ。この「粉末化」の構造は、毛皮にも作用するという効果があり、毛皮は衣服の裏地として人気がある。
冠羽（後頭部にある長い羽）は、熱を加えるとよく反応し、熱に向かって丸くなり、その形で固定される。この方法で冠羽をヘアスタイリングするようにして整えることが出来る。
翼や冠羽のような長い羽の根元には血液が生き生きと流れており、折れたり引き抜かれたりすると大量に出血することがあるが、重傷には至らない。失った羽は数週間後には再び生えてくる。時折、アヴァリは親しい友人や同盟者に記念品として長い羽を一つ贈ることがある。これは、多くの場合、お互いの関係のしるしとして衣装に組み込まれる。具体的な例では、教官が卒業した生徒へ羽毛を贈ることがあり、これは教官から認められたことの証となる。
耳[]
アヴァリは大きな目が特徴的だが、これは単純に光がほとんど存在しないアヴァロン星で少しでも多くの光を拾うためで、主な感覚は聴覚である。それぞれ個別に動かすことが出来る長い四つの耳は、一度に複数の方向から音を拾うことが出来る。この優れた聴覚によって複数の音の発生元を全て同時に特定することが出来る。この並外れた聴覚に基づく行動は盲目者のそれにも似ており、視界の外にいる生物の存在を立体的に捉え、特定することが出来る。また、パックの仲間とは並行して会話をすることができ、それぞれのメンバーが異なる話題の処理担当者として、目の前の問題の解決策を見つけ出すことが出来る。
生殖[]
生理的には雌雄ともに非常によく似ており、どちらも総排出腔を持ち、雄は陸生哺乳類に見られるような生殖器を持たない。生殖も鳥類と同様の仕組みで行う。
受精後、短い妊娠期間を経て、メスは大きくて柔らかい革のような殻に覆われた卵を一つ産む。産卵に要する栄養素の量の関係から、頻繁な産卵をすることはない。同時に、アヴァリの卵はアヴァリ本体に対して比較的大きいため、これが硬い殻を持たない理由となっている。
卵は共同の孵化場に預けられ、新生児は実親に関係なく各部族のパック全体で育てられる。卵は通常、4～5ヶ月ほどで孵化する。
装備品による強化[]
アヴァリ族はみな、ある程度のサイバネティック強化装置を備えている。 最低限の拡張現実感を提供し、生命を脅かす状態や外傷を監視および隔離するネクサスおよび互換性のあるハードウェアと医療用ナノマシンとのインターフェースを可能にするニューラルインターフェースなどがある。
より高度なサイバネティクスには、異国の地で生き延びるための生命維持装置や、手足の交換、さらには全身の交換をサポートするライフサポートレギュレーターなどがある。サイボーグ化されることで、より過酷な環境に耐えることができ、操作者に後遺症を残すことなく大規模な外傷に耐えることができるようになるため、職業軍人や探検家に人気がある。